公共工事を請けるために必要な事前の手続である経営事項審査(経審)について、ここでは解説したいと思います。
経営事項審査とは?
「経営事項審査(いわゆる「経審」)」とは、公共工事を請け負うことを希望する建設業者の方が受ける審査のことをいい、国や各自治体などから公共工事を請け負うためには、この経審の受審が義務付けられています。
あくまでも公共工事、つまり建設工事に関わる入札に参加する場合に必要となる手続きですので、物品や役務などに入札参加したい場合は、不要な手続きとなっています。
経営事項審査を受審し、結果通知書を発行してもらうことによって、経営規模や経営状況、技術力などを数値化され、「この会社が本当に公共工事を行うことができるのかどうか。」を評価されることになります。
また、経営事項審査を受審するためには、申請したい業種の建設業許可を有している必要があるので、建設業許可の必要な業種を取得し、経営事項審査を受審し、希望する自治体などに入札参加資格を登録したうえで、入札に参加することになります。
経営状況分析と経営規模等評価申請
経営事項審査は、「経営状況分析」と「経営規模等評価申請」という二つの手続を行うことをいい、次の1.2.の手続を完了することによって、総合評定値通知書(経営規模等評価結果通知書)を発行してもらうことになります。
1.経営状況分析(Y)の申請 |
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2.経営規模等評価(XZW)の申請と総合評定値(P)の請求 |
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公共工事を受注するまでの流れ
次に、入札参加するまでの大まかな流れを記載しておきますね。
建設業許可の取得
経営事項審査を受けるためには、まずは建設業許可の必要となる業種を取得している必要があります。 |
決算変更届の提出
建設業許可を有している事業者は、毎事業年度終了後4ヶ月以内に決算変更届を提出する必要あります。 決算変更届は、財務諸表や1年間の工事経歴を記載した事業報告のような書類となります。 また、財務諸表については、一般的な会計基準のものから建設簿記に適合したものに作り直し、工事経歴については、工事の件名や内容と申請する業種とが合致しているかを工事請負契約書や請求書・発注書などで確認した上で作成します。 |
経営状況分析申請(経営事項審査の一段目)
経営状況分析機関に「経営状況分析申請」を行い、「経営状況分析結果通知書」を受け取ります。 経営状況分析結果通知書は、この後の申請で使用することとなります。 |
経営規模等評価申請(経営事項審査の二段目)
決算変更届も提出済みで、「経営状況分析結果通知書」も取得できた後に、経営規模等評価申請を申請することとなります。 経営規模等評価申請を申請できる日は、各都道府県によって異なります。 例えば、京都府では各土木事務所で一週間のうち、申請日が限定されている、滋賀県では、県庁より葉書が届き、指定された日に申請を行うなどとなっています。 |
総合評定値通知書(経営規模等評価結果通知書)の送付
経営規模等評価申請を行うとおおよそ一ヶ月後に「経営規模等評価結果通知書」が送付されます。 この結果通知書を元に、入札参加資格審査を行います。 また、次年度の経営事項審査でも資料として使用しますので、大切に保管する必要があります。 |
入札参加資格審査
国や都道府県、市町村、独立行政法人などの希望する自治体などに建設工事に係る入札参加資格審査を申請します。 申請後に入札参加資格業者名簿に登録されると、申請した自治体の入札に参加することができるようになります。 |
経営事項審査の有効期間
経営事項審査の有効期間は、毎年申請する必要があるにもかかわらず、有効期間は1年7ヶ月となっています。
ずいぶんと余裕があるように感じてしまいますが、実はそうでもありません。
経営事項審査の有効期間の起算日は、審査基準日といい、申請直前の決算日となっています。
たとえば、審査基準日は令和4年11月30日の場合、経営事項審査の有効期間は令和6年6月30日(1年7ヵ月後)までとなります。
決算日以降の税務申告は2カ月以内に、また決算変更届は決算日以降4カ月以内に申請し、決算変更届後の経営事項審査はおおよそ1カ月程度の期間が必要になります。
次年度の令和5年11月30日の経営事項審査の際、前年度の経営事項審査の有効期間は令和6年6月30日ですので、順調に申請したとしても、5カ月程度の期間が必要なので、令和6年4月の末ごろまでかかるということになります。
決算日以降に税務申告の準備を行い確定申告を申請し、建設業の決算変更届・経営事項審査を行うころには、有効期間のぎりぎりになってしまうこともあります。
経営事項審査の有効期間が1年7ヶ月という中途半端な期間に設定されているのは、審査基準日(決算日)以降に行う手続きが、確定申告なども含めると非常に時間がかかるため、有効期間をよぶんめに設定されているといえます。
これらを考えると、毎年の経営事項審査を継続させるためには、実はあまり時間的余裕はないと考えたほうがよいでしょう。
毎年の決算終了後は早めに決算変更届を提出し、経営事項審査を行いましょう。
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